隣接するマンションからの視線や北側隣地に対する日照への配慮や将来的な周辺環境の変化などに対応する形態として、家型の一辺を敷地なりに斜めに切り落としたボリュームが導き出されました。
2階にリビングを設定し、その周囲に書斎やテラスやロフトやキッチン、水廻り等を外部との緩衝帯として配しています。リビングは外部と直接ではなくワンクッションおいて繋がることで適度な距離が保たれ、カーテンやブラインドをしなくてもプライバシーを気にせずにゆったりとくつろいで過ごせるようになっています。
リビング自体は白い漆喰塗装でスッキリと仕上げつつ、白壁に穿たれた開口を通じて、緩衝帯に用いられている木や土壁等の多彩な素材の表情や切り取られた空が垣間見えることで、シンプルながらも多様さの感じられる場となっています。同時に、それぞれの場に応じて設定されている床レベルが場所同士の多様な繋がり方を生み出しています。
外部の仕上げは、各方位ごとの年間日射受熱に対する断熱性・壁体内通気促進を考慮して、東西壁面は火山灰による土壁、屋根と南北壁面は黒系金属板を用い、自然素材と工業製品の質感を積極的に際立たせるように各面で対比的に仕上げています。
リビング奥の書斎から延びる床がテレビ台・棚・腰掛け・テラスへの踏み台となり、その下部は収納にもなっています。
リビングは明るく開放的でありながら、プライバシーの守られたゆったり寛いで過ごせる場所となるように計画しました。
リビングに隣接して設けたご家族みんなで使える書斎。 棚壁を介することで、リビングとの適度な距離感をつくりだすと同時に、少々散らかしていてもリビングからは気にならないようにしています。
長さ3.6mのテーブルを造作しているので、ご夫婦・お子さんが一緒にお仕事や宿題をすることができます。
ピクチャーウィンドウのようにリビングの様子を切り取り、程よくリビングとも繋がります。
セミクローズド・キッチン。 引戸を閉めれば完全クローズでき、開けていればリビングと繋がり、その時々でオン/オフの切換えが容易なので、いつ来客があっても対応できます。リビングとは窓越しでも繋がっています。
外の街並みが直接目に入らないように配慮しながら光を採り入れています。障子による拡散光、ロフトの窓からの間接光、縦スリットからの光線が、木・土壁・漆喰といった多彩な素材と絡み合い、シンプルかつ変化に富んだ小空間を演出します。
建物構成から生じる高低差を活かして設けたロフトスペース。 天井が低い分、他とは雰囲気の異なる落ち着く場所として、読書や趣味のスペースになったり、少し一人になりたい時の隠れ家にもなります。
キッチンと繋がっているので、季節の良い時期は週末のアウトドア・ダイニングとして、また、お友達や親戚が集まった時はバーベキューテラスとしても使われます。