小金井市の閑静な住宅街に建つ、小さな2匹の犬と共生するための住宅である。一部、事務所スペースも併設されている。
敷地は南側が道路に面し、周囲の建物がゆったりと立て込んでいるといった環境にある。条件に恵まれてはいるが、いつもの通り、光や風について考えて、合計3つの「庭」を設けることとした。南側には玄関部分以外を一番大きな庭を用意した。塀で適度に囲われた居間から一続きのデッキテラスとして、犬も自由に走り回れる空間である。その他、敷地の奥、北西と北東にも庭を設けた。こちらには緑を施し、見るための庭として設えているが、ここへ風が抜け、柔らかい光を取り込む。内部からは、どこにいても、どちらを向いていても、いずれかの「庭」を望むことができる。やはり視線の先に自然を感じることは気持ちが良い。
2階に、バルコニーにつながって、寝室や事務所スペース、あとは水廻りがある。1階からの階段はゆったりと計画しているが、特にその脇には登山道のような犬用のスロープを用意した。小さな犬たちが、安全で快適に上り下りできるような配慮だ。これが人間が通過するにもなにやら豊かな広がりとなったように思う。
完成後、まだ暑さの残る初秋にお招きいただいた。想像以上に南北の庭を気持ちのよい風が抜けていた。あまりの心地よさに長居をしてしまい、ご迷惑(深酒?)をおかけしたのではと、少し反省している。でも、また良い時期になったらうかがってみよう。
居間、北側を見る。奥に北西の庭が広がる。
建具を解放すると、庭と居室が連続した居場所となる。犬たちは自由に行き来をする。
スクリーンの生地をつかった建具を閉めた様子。風を通し、光を柔らかく通しつつ網戸の役割も果たす。
畳のスペースをみる。
キッチン、右手に南の庭を臨む。
畳スペースから北東の庭をみる。庭に向かって、掘りごたつのカウンターを設えた。
階段と犬用のスロープ。犬たちが安全に快適に上り下りできるように考案。 登山道のようで、なんだか楽しい。
2階の事務所用スペース。ホールには自転車を格納。
2階のバルコニー。大きな軒の下のスペースが確保できている。
夕景。静かに佇む。