場所は高台に位置する閑静な住宅街で、計画地は東側が崖地に面しております。麓には利根川が流れ、正面には前橋市のシンボル『赤城山』を望めるロケーションです。赤城山の雄姿を望むべくLDKと浴室は2階に配置。1階の諸室となる和室と二つの洋室も赤城山に向けてリニアに配置。少し広くした玄関ホールも赤城山に向けて開放し、ギャラリーの機能も兼ねています。以上のように、全ての空間から赤城山を望めるような配置計画とし、開放的に大きな開口部を設けております。外観はプライバシーを確保しつつ、一歩中に入ると雄大な赤城山を望める空間を演出しました。
本住宅は、前面道路側からのプライバシーを確保しつつ、一歩中に入ると雄大な赤城山を望める演出としています。そんな内部空間に入った時の感動を高めるためには、アプローチの計画も重要です。ライトアップによる白壁に映し出されたモミジの影に心和みます。
少し広めのエントランスホール兼ギャラリー。正面は全面開口、その向こうには竹縁を設け、赤城山への眺望を意識した空間構成。両サイドの白い壁には、お気に入りの絵が飾られています。春夏秋冬に応じて、絵を掛け替えるそうです。
客間として使われる和室。客さまには、初め障子を閉めた状態で入ってもらい、入ってから障子を開けて赤城山を眺めてもらう。そして夜には庭をライトアップして、のんびりと寛いでいただく。おもてなしの演出です。
床は琉球畳。イ草の香り(臭覚)と、その肌触り(触覚)に癒されます。天井は神代色の網代。赤城山の景色を眺め(視覚)、利根川のせせらぎに耳を傾け(聴覚)、美味しいお茶を味わう(味覚)。まさに人間の五感を楽しませる空間です。
天井は煤竹。職人さんが手間を掛けた美しい天井。赤城山に視線が向かう設え。麓に流れる利根川の流れに耳を傾け、緑の絨毯のように広がる木々の上に浮かび、ただただ、赤城山に向かって身を委ねる。そんな空間を目指しました。
調理しながら赤城山が望めるポジション。奥の白い壁に囲われた所に冷蔵庫。壁付キッチンの手前の茶色い壁に囲われた所は、建主さん希望の卓上食洗機。使い勝手の良い配置計画とともに、来訪者の目に入らないように壁の裏に。機能と形態が建築と一体になるよう、キッチンを設計。
1階からペントハウスまで繋がる3層の階段スペース。壁には山葵色の珪藻土の櫛引仕上げ。ダイナミックに繋がる壁の連続性と、放射状に伸びる光が美しい。日中はペントハウスからの明るい光が一階まで降り注ぎます。
浴室は疲れを癒す場所。拘りたいものですね。木と石の自然の風合いを活かした浴室。まさしく自宅で愉しむ旅館のお風呂。朝は赤城山の雄姿を望みながら。夜は前橋市街の街灯りを望みながら。ついつい、長湯してしまいそうです。
バルコニーは床、庇とも一間(1820mm)飛び出しております。庇の出が大きいので、夏場の日よけ対策になります。軒天の仕上げはLDK同様、煤竹。枠周りはフレームレスな納まりで、空間が分断されず、一体感があり、より大きく感じます。