ご夫婦二人のための都市型住宅です。1階には、4.5畳の土間、玄関収納を兼ねた内玄関、小上がりの畳スペース、書斎。拘りのキッチンは業務用で、幅3メートルのアイランドと壁付きの二列型。2階には、坪庭に面した在来工法の浴室、吹抜・中庭を内包した寝室。27坪とコンパクトな計画でありながら、多様性に富んだ空間構成となっております。良質な国産木材に拘り、構造材は宮崎産の飫肥杉。フローリングも同じく飫肥杉で、厚さ30mmの無垢、幅220mmの幅広、長さ4メートルもあるので迫力があります。床や天井には構造用合板を使わず、水平構面も確保できる信州産カラマツの3層パネル。外壁もこれらのコンセプトに合わせて愛媛産の焼杉を採用しています。こだわり所が満載で、大工さん、職人さんたち手づくりの痕跡が詰まった住宅です。
北側道路に面した敷地。玄関は左脇の奥に構え、路地に惹き込まれるような設え。そのまま南側のお庭に通り抜けることができます。間口が狭い敷地ながらも、人の歩く距離を長くすることにより、奥行きのあるアプローチを演出しようと考えました。
玄関を入って正面にキッチンがあります。奥さまは、料理が大好き。美味しいものを作ることが何より幸せ。ゆくゆくは、ここで小料理屋さんでもやろうかと。本気なのか、冗談なのか、、、玄関を入ると、女将さんの笑顔が待っている。そんな構えです。
玄関の延長としての土間空間。ご主人の趣味は、日曜大工。土間は路地に面しており、掃き出し窓を開ければ、外部と一体的に使えます。小上がりの下には、長物の資材も入る大容量の床下収納。左手の豊かな緑は、お隣さんのお庭。借景として眺めさせてもらっています。
玄関収納。靴、コート、傘はもちろんのこと、ご主人の趣味である日曜大工の工具も仕舞います。手洗い左手には引戸があり、そのままLDKにウォークスルーできる裏動線。靴を脱ぎ履きする内玄関になっているので、靴が土間空間に散らかることもありません。
業務仕様のキッチンをオリジナルで特注。アイランド側は食卓になることも考え、温かみのある耳(皮)付の吉野杉のカウンターを設えています。キッチンの向こうには小上がりの和室(4畳半)、さらに奥にはご主人が籠れる書斎があります。
キッチンの上部は、2階の中庭に面した吹抜になっており、1階のキッチンや和室に明るい陽射しを取り入れるとともに、和室からは青空や星空を見上げることができる構成。寝室へと向かう動線。吹抜や中庭を眺めながら、ちょっと優雅な気分も味わえます。
寝室と中庭、さらには吹抜とが繋がる一体の空間。プライバシーを気にすることなく、都心でありながらも開放的な広がりを感じます。中庭は、寝起きのコーヒー、休日のブランチ、就寝前のお酒の時間を楽しめる空間。
坪庭から浴室を見た様子。坪庭を眺めながら寛ぐことができる空間。清潔感と上質感を醸し出し、ホテルライクな空間を演出しています。出入口は、水に強い青森ヒバで框を作ったガラス引戸。引戸なので、開け放しておいても邪魔にならず、洗面室と一体感があります。
リビングと格子との間には縁側。格子を開けると、腰を掛けることができます。格子を閉めると、その囲われた空間は中間領域となり、室内空間が広く感じます。格子の隙間から漏れる光が美しく、温かみを感じる様相に変化する設え。