大きな家ですね~と思われる方も多いようです。私もそう感じます。平屋だからかな、、、庇も大きいしね、、、でも実は、延べ床24坪のお宅。延床面積をあまり広げず、外部と繋がる伸びやかな空間構成、大工さんや職人さんたち手づくりの痕跡を大切にした住まいです。家族構成は、夫婦二人+子供三人。縁側が欲しい、子供は各自個室、小上がりの畳の間(2人寝れる客間)が欲しい、アップライトを置きたい、ハーフバスが良い、オールステンレスの対面式キッチンが良い、使い勝手の良い収納計画、床は厚30mmの無垢、外壁は焼杉、等々。室内から軒先へと伸びる垂木は現し、大きな屋根が家族の夢を包み込んでいます。
道路に面した北側の外観。玄関の位置は、道路からの引きを取り、奥まったところに配置。アプローチを屈曲しながら、奥へ奥へと導かれます。モミジの紅葉、アオハダの赤い実は、その季節になると黒い焼杉を背景に映えます。この二本の間を縫って玄関へと至る小路を演出。
玄関扉は建具屋さんの製作。黒い焼杉とのコントラストが美しい。扉を開けると、正面には掃き出し窓。土間を通り抜けて、南側のお庭に出ることができます。正面には格子戸を設けており、プライバシーをゆるやかに保ちつつ、差し込む陽射しが印象的。
玄関の一面に貼られた市松の和紙。柿渋和紙(墨灰)と彩色和紙(薄紅)をセレクト。天然系で汚れにくい素材。照明スイッチは真鍮鋳物のトグル。ずっしりとした重み、使うたびに味わいが増す素材。
室内に入ると、連続する垂木(梁)が印象的な空間。垂木のサイズは57×210㎜。垂木は外部の縁側まで伸びています。垂木が現しになっているため、天井が高く、美しい架構が見え、内部と外部とが一体に感じる設えになっています。
キッチンは暮らしの要。オールステンレスで、傷が目立ちにくいバイブレーション仕上げ。ペニュシュラの対面式で、サイズは2700×850㎜。背面カウンターは造作。ゴミ箱を4つ置けるスペースを確保。正面には建具屋さんに造作してもらった勝手口。
廊下というと、裏方と言いますか、、、空間としての設えが疎かになりがちなところではありますが、毎日通る場所ですので、気持ち良い空間にしたいもの。高い天井が特徴的で、家全体を包み込む垂木が表しになっています。
窓の向こうに自分の家を臨むことができます。L型の建物に囲われたお庭を共有しつつ、個室からリビング、リビングから個室、適度な距離を保ちつつも、ひとつ屋根の下に互いの存在を認識し合う程よい関係。曲り家ならではのメリットですね。
畳みスペースの一角には、読書やパソコン用のデスク。足元は、腰掛けしやすいように掘り込んでいます。団欒はダイニングテーブルを囲み、寛ぎたい時は畳スペースでリラックスし、気分転換の時は軒の深い縁側に腰を掛けて、思い思いの時間を過ごしています。
空気の澄んだ夕空に、伸びやかな庇のラインが映える夕暮れ時の様子。照明が灯され、内部の様子が浮かび上がってきます。