敷地は郊外の住宅地で、近隣の家々の窓からの視線が気になる環境でした。
私たちは、そのような環境でもプライバシーの確保と豊かな光環境をいかに両立させるかを検討したいと考えました。
一方、クライアントはプライバシーを確保しつつ解放感のある中庭を望まれました。
そこで、私たちは2階分の壁で囲われた中庭を設け、この中庭に対して住宅を開くことでプライバシーと十分な明るさを得ることを考えました。一方、外部に対しては小さなスリット窓や限られたトップライト、ハイサイドライトなどを配置し、玄関から廊下、LDK、中庭へと続く動線上に様々な光で演出された景色が連続して現れるようにしました。
エントランスをくぐると、吹き抜けの廊下と背後のトップライトからの光線を受けるモルタル左官仕上げの大壁が現れ、廊下を進むと正面にトップライトからの光を受ける坪庭が見えます。坪庭を眺めながら進むと左手に開けるLDKとその向こうに輝く中庭が現れます。廊下から2階へと続く階段の先にもくつろげる場所を設け、その坪庭の植栽とトップライトの向こうの青空を楽しめる場所となっています。
中庭と坪庭の植栽は、造園家によって選定された木々が植えられています。プライバシーを確保しつつ、家の其処此処で様々な光で演出された四季の景色が楽しめる家となりました。