ファサードは敷地のもつ5m以上の高低差を利用し、高さを1回分抑え、建物をできるだけ北側に配置して、周囲への圧迫感を緩和している。 南側に大きな前庭の植栽スペースを設け、緑に包まれた邸宅の構えとした。道路沿いは以前からの御影石擁壁を残し、外壁は庭の緑を生かすよう、イタリア北部で産出される灰色の火山岩バサルティーナを選定した。過去から現在までの記憶を素材でつなぎながら、木々や草花が重なり合い、街並みに潤いを与えている。
鉄板の門扉をくぐると、その先には北から南へと、風と共に湿気を逃がす階段状のトンネルがある。そこに、山口アキオ氏の積層ガラスオブジェが、 隣に流れる清流の川に対し、清風の路のような印象を与え、家族や来客を楽しませてくれる。
地階は家族用の玄関があり、天井には水盤トップライトが設けられ、水の揺らぎが周囲の壁面を照らし家族を迎える。またご主人が友人との 時間を過ごせるホビールームを設け、天井高さ3.4m、42㎡の大空間でジムやインナーゴルフなどが楽しめる場所もある。 1階は東側に川の清流を楽しめるよう玄関と和室を配し、川から離れた静かなゾーンにLDKスペースを設けた。南側にはアウトドアリビングと ガレージ上の屋上庭園が広がり、さらにその先にはすばらしい眺望が広がる。2階はプライベートな室を中心に配している。