本計画では、前面道路は県道であり、交通量が多く、騒音の問題もあることから、基本的には開口部を設けず、快適な内部空間を実現する計画となっている。
またファサードは3つのボックスの構成により、水平と垂直が強調されたデザインとなっており、深い庇が象徴的な印象となっている。
玄関を入るとすぐにパティオにて来客者を招き、上部の開口部からの光で、明るい空間を確保している。
その一角には、植物を施し、室内に居ながらも、自然を感じることができるスペースとなっている。
2階にはLDKを設け、天井高さは4Mとすることで、開放的な空間となっている。
外部環境は決して恵まれているわけではないが、囲われた中庭テラスにより、 プライバシーを確保しつつ、植物や空など、常に自然を意識することができ、ゆるやかな時間軸がこの空間には存在している。
騒がしい外部環境とは異なり、道路側、アプローチ、裏庭と緑を色々なところで計画するとともに、大小様々な緑を配置することで、各部屋から緑を伺うことができ、内と外の隔たりを感じない、つながりのある生活が生まれるだろう。
同時に、室内は外部の光を受け入れることで、一日のわずかな移ろいを感じることができる。
現代の慌ただしい時間軸とは違う、ゆるやかな時間がこの家には流れている。