三重県の県庁所在地である津市。平安時代かつては港町として栄えたことから津と呼ばれている。
敷地は その港から2km程北に位置しており、海抜が4mであったため1FLを道路レベルより70cmあげてかつ、居室を設けないようにした。また地盤も弱かったために柱状改良をおこなっている。
前面道路が東側にある東西軸に長い敷地となっており、南北軸は駐車場に挟まれている。
東側の道路からのファサードは、周辺の商業ビルと同化するようなデザインとしてプロフィリットガラスを使用した。準防火地域であったためにダブルのプロフィリットガラスの間に網入りガラスをサンドイッチした構造となっており、断熱効果もある。
外壁の打放しコンクリートと建物に沿って建つ3mのRC塀との間には10cmの隙間があり、そこからアプローチのレッドシダーの壁に対して、南の日が差し込む光が時間を刻む。連続する柱はコタタキにして優しい表情とした。正面に細長い水盤があり、上に視線を向けると3層に渡る吹き抜けから植栽が顔を出す。
地域の賑やかさと反比例して外界を遮断した静かな場となっており、緑と空、水と光、陰影のある空間となった。
1階には玄関土間と仏間となる和室と、夫のアトリエを配している。2階は居住スペースとしている。
玄関、和室、アトリエの空間から幅800の小さな水盤が見えるよう、南側に地窓を設けている。
和室の床の間は黒皮つき鉄板、壁はコタタキ仕上、床板には名栗仕上げなど4畳半の小さな空間にさまざまな仕上げが詰まっているが、それらが主張しすぎないような整然とした空間をめざした。
エレベーターは1階から居住スペースである2階までの、移動の負担を軽減する計画となっている。
2階はLの頭上は屋上のグリーンテラスであり、BBQをしながら緑を楽しむことができる。またDKからもFIXガラス越しに屋上の緑が観賞でできる。
本計画は、地域的に細長の敷地いっぱいに建物を建てているが、中心部に光庭を設けることで、どの部屋からも施主家族が水や緑、光や風など自然を楽しむことができる計画となった。