「現代の茶室と現代への茶室」
株式会社七葉は「抹茶」という切り口から、「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。
09年10月現在で27店舗を展開する"和カフェ"である。
良質の抹茶を、抹茶ラテなど現代的にアレンジしたメニューで提供している。
そして、その店内に求められる空間は「和風」ではなく「現代の茶室」である。
それは、オーナーの言葉を借りれば"日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店"をつくりたいという思いの表れである。
また、"七葉"は"nana's green tea"とは違い、スローフーズの形式を取っており、ナナハグループの中でもフラッグショップの役割を持つ。
今回の立地は、新宿駅前にある商業施設(ショッピングモール)小田急百貨店内の1区画であり、高級ブティックが多く入っている百貨店である為、高所得者をターゲットとしたハイグレードな店舗設計が求められた。
茶室の事を数寄屋と呼ぶ。本来、すき(数寄)とは「好き」や「隙」と同義語で、「数寄」は当て字である。
一説には、「隙」をわざと作って来客の緊張を解こうとしたという話もある。
私は、「隙」を空間表現である「隙間」に読み替え、隙間からの間接照明を四方に廻し、来客の緊張を解く為の手段とした。
また、過去と現代の「隙間」を埋める為、立礼による茶室を用意した。