「陰翳礼讃」
株式会社七葉は「抹茶」という切り口から、「新しい日本のカタチ」を世界に発信している会社である。
良質の抹茶を、抹茶ラテなど現代的にアレンジしたメニューで提供している。
そして、その店内に求められる空間は「和風」ではなく「現代の茶室」である。
それは、オーナーの言葉を借りれば"日本に昔からある茶文化を現代的な解釈で楽しめる店"をつくりたいという思いの表れである。
今回は中国への出店にあたり、「アジアの茶室」を作る事を試みた。
まだ電灯がなかった時代、西洋では可能な限り部屋を明るくし、陰影を消す事に執着したが、日本ではむしろ陰影に「美」を認め、それを利用する事で陰影の中にこそ生える芸術を作り上げた。
(谷崎 潤一郎 著)
そこで、七叶和茶 長寧竜之梦店では、現代の照度を確保しつつ、マテリアルによって空間に陰影を付ける事は出来ないかと考えた。
実際には、光の量が届かない空間の中心部より外部に向かって木目の濃度を下げて、グラデーションを作り「材料の陰影」によって「日本の美」を表現した。