建築家・設計事務所が手がける
和風住宅・和モダン住宅実例
間取り・素材・費用のポイント

2025-12-18更新
建築家・設計事務所が手がける和風住宅・和モダン住宅実例 - 間取り・素材選び・費用のポイント

和風・和モダン住宅は、日本の住まいが育んできた美意識や空間感覚を、現代の暮らしに合わせて再解釈した住宅のあり方です。畳や障子、縁側といった伝統的な要素をそのまま再現するのではなく、素材感や余白、光と影の扱い方など、本質的な魅力を現代的な設計に落とし込むことで、落ち着きと洗練を併せ持つ住まいが生まれます。

建築家・設計事務所が手がける和風・和モダン住宅は、敷地条件や家族構成、ライフスタイルに寄り添いながら、和の魅力を空間全体で表現できる点が大きな特徴です。木や土、石といった自然素材の使い方、庭や外構とのつながり、視線の抜けや間の取り方など、細部の積み重ねによって心地よさが形づくられています。

この特集では、建築家・設計事務所が手がけた和風・和モダン住宅の実例をはじめ、設計の工夫・ポイントや費用の考え方、注意点などご案内します。伝統と現代性が調和した住まいづくりの参考にしていただければと思います。

和風・和モダン住宅とは

和風・和モダン住宅は、日本の住まいに受け継がれてきた考え方を、現代の暮らしに合わせて丁寧に再構築した住まいです。伝統的な造りをそのまま再現するのではなく、今の生活や価値観に寄り添いながら「和」をどう取り入れるかが大切です。

伝統的な和風住宅の考え方

和風住宅の基本には、自然と調和しながら暮らすという思想があります。深い軒によって直射日光や雨を和らげ、縁側や庭を介して内と外を緩やかにつなぐ構成は、日本の気候風土に適した合理的な住まいでした。

また、畳・障子・襖といった建具や素材は、空間を固定せず、用途や人数に応じて柔軟に使い方を変えられる点も特徴です。こうした考え方は、現代の住宅設計においても十分に活かすことができます。

和モダン住宅との違いと現代的な解釈

和モダン住宅は、和風住宅の要素を現代的な素材や構成と組み合わせた住まいです。例えば、木や左官といった自然素材を用いながら、間取りはオープンにし、断熱性や設備性能は現代基準で高めていくなど、伝統と快適性を両立させます。

「和」を全面に押し出すのではなく、空間の余白、陰影、素材感といった要素をさりげなく取り入れることで、落ち着きのある住まいをつくるのが和モダンの特徴と言えるでしょう。

「和」をどう取り入れるかという
設計アプローチ

和風・和モダン住宅では、「どこに」「どの程度」和の要素を取り入れるかが重要です。外観で屋根形状や軒の出を工夫する方法もあれば、内装で天井の高さを抑えた和室や、障子越しの柔らかな光を演出する方法もあります。

建築家・設計事務所は、敷地条件や家族構成、暮らし方を踏まえたうえで、素材・寸法・光の取り入れ方を細かく調整し、その住まいに合った「和」の表現を導き出します。結果として、流行に左右されにくく、長く心地よく住み続けられる住宅につながっていきます。

建築家・設計事務所が手がける
和風・和モダン住宅実例

和風・和モダン住宅の魅力は、素材や意匠の美しさだけでなく、敷地条件や暮らし方に寄り添いながら「和」の要素をどう現代的に再構成するかにあります。建築家・設計事務所が手がける住まいでは、単に和の意匠を取り入れるのではなく、光の扱い方、空間の余白、内外のつながりといった設計全体のバランスの中で、日本的な心地よさが丁寧に形づくられています。

ここでは、そうした視点から計画された和風・和モダン住宅の実例を紹介します。伝統と現代性がどのように融合しているのか、設計の工夫や空間の魅力に注目しながら、住まいづくりのヒントを探してみてください。

秋月の家

柳瀬真澄建築設計工房
秋月の家

墨色に染めた杉板外壁に、寄棟大屋根を乗せた外観。 「秋月重要伝統的建造物群保存地区」内に凛として佇む住宅です。

詳細はこちら

家族とともに四季を過ごす家

株式会社 羽田建築設計事務所
家族とともに四季を過ごす家

薪ストーブ一台で家全体の暖房を賄う高気密高断熱住宅。 無垢材と炎の揺らぎが素敵です。

詳細はこちら

平屋の家

Sデザイン設計一級建築士事務所
平屋の家

明治時代に建てられた母屋のある敷地内の住宅。 和風庭園の雰囲気に溶け込み、それでいて若いご夫婦にあう洗練された空間。

詳細はこちら

宮西の遺跡

岩間建築設計事務所
宮西の遺跡

まるで弥生時代の高床式倉庫を想起させる佇まい。 中庭の石畳みが室内まで伸びた玄関土間も素敵です。

詳細はこちら

松本岡田の家|切妻六.五間堂

一級建築士事務所エムティーケーアーキテクツ
松本岡田の家 |切妻六.五間堂

シンプルな切妻屋根、黒い羽目板と白の塗り壁。 周辺の環境とも調和した凛とした佇まいの住宅です。

詳細はこちら

おおらかに暮らしを包み込む数寄屋の家

やまぐち建築設計室
おおらかに暮らしを包み込む数寄屋の家

数寄屋をイメージした高級和モダン住宅。 和の粋を豊かさに変換し随所に盛り込んでいます。

詳細はこちら

深い軒に守られた趣のある家

小林良孝建築事務所
深い軒に守られた趣のある家

黒いガルバリウム鋼板と木の調和がとれた、街並みに馴染むよう落ち着きのある佇まい。

詳細はこちら

SKY FIELD HOUSE 『現代古民家』

平林繁・環境建築研究所
SKY FIELD HOUSE 『現代古民家』

懐古的な要素も取り入れたいというお施主さんのご希望を実現。 気に入った古建具を持ち込み、懐かしい雰囲気、心和む住宅に。

詳細はこちら

土間の広がる家

築紡|根來宏典
土間の広がる家

土間を中心に、LDK、土間、軒下、庭が一体となった空間構成。 連続する垂木の美しさも特徴的です。

詳細はこちら

京都伏見の住まい

木村哲矢建築計画事務所
京都伏見の住まい

京都伏見の川に面して建つ住宅。 建物の構造も仕上げも裏表のない正直な素のままの住まい。

詳細はこちら

焼杉の家

川島建築事務所
焼杉の家

外壁は焼杉と漆喰、屋根はいぶし銀瓦ふせ、内部は漆喰塗り仕上げ、天井は梁・丸太をあらわしとした優しく懐かしい住宅。

詳細はこちら

和モダンのじぶんち

和モダンのじぶんち

時間が経つにつれて味わいが増す焼杉を外壁に。 10年後20年後が楽しみな住宅。

詳細はこちら

このほかにも、和の美しさ、心地よさを感じる住宅実例は多数あります。 ご希望に合わせ、和風・和モダン住宅を得意とする建築家・設計事務所のご案内も可能ですので、よろしければお気軽にお問い合わせください。

和風・和モダン住宅の
空間づくりのポイント

間取りと動線計画(続き間・回遊性・視線の抜け)

和風・和モダン住宅では、空間を細かく仕切り過ぎず、緩やかにつながる間取りが心地よさを生みます。襖や引き戸による続き間は、用途に応じて空間の大きさや関係性を柔軟に変えられる、日本の住まいならではの知恵です。

また、回遊性のある動線を取り入れることで、行き止まりの少ない伸びやかな暮らしが実現します。廊下を単なる通路として扱うのではなく、視線が抜ける配置や中庭・庭との関係を意識することで、日常の移動そのものが心地よい体験へと変わります。建築家は、座ったとき、立ったとき、歩いたとき、それぞれの目線を丁寧に想定しながら、奥行きと落ち着きを感じられる空間構成を行います。

土間・縁側・中庭などの半屋外空間

和風・和モダン住宅の魅力のひとつが、屋内と屋外の間にある「余白」のような空間です。土間や縁側、中庭といった半屋外空間は、外の気配を程よく取り込みながら、暮らしにリズムと広がりをもたらします。

例えば、玄関から続く土間は来客対応や趣味の場としても使え、縁側は庭を眺めながら一息つける居場所になります。中庭を設ければ、周囲の視線を気にせず光や風を取り込むことができ、都市部でも静かな住環境を整えやすくなります。これらの空間は、単なるデザイン要素ではなく、住まいと自然を緩やかにつなぐ大切な役割を担っています。

天井高さ・開口計画による落ち着きと開放感

和風・和モダン住宅では、「高ければ良い」「大きければ良い」という考え方ではなく、場所ごとに適した天井高さや開口のあり方を考えることが重要です。リビングはあえて天井を抑えて落ち着きを持たせたり、庭に面した部分だけを高くして開放感を演出したりと、メリハリのある計画が空間の質を高めます。

開口部についても、外に向かって大きく開くのではなく、軒や障子、深い窓枠などを通して柔らかな光を取り込む工夫が和の空間にはよく馴染みます。直射光を避け、陰影を楽しむことで、時間帯や季節によって表情が変わる、落ち着きと奥行きのある住まいが生まれます。

素材でつくる和の住まい

和風・和モダン住宅の印象を大きく左右するのが、素材の選び方です。形や意匠を過度に主張しなくても、素材そのものがもつ質感や陰影によって、住まい全体に落ち着きや奥行きが生まれます。ここでは、和の住まいを支える素材の考え方と、現代住宅との調和について見ていきます。

無垢材・和紙・左官・畳など自然素材の魅力

和の住まいでは、木・土・紙・草といった自然素材が長く使われてきました。無垢材は、足触りのやさしさや香り、時間とともに深まる色味が魅力で、空間に温度を与えてくれます。床や天井、造作家具などに取り入れることで、住まい全体に統一感が生まれます。

和紙や左官壁は、光をやわらかく受け止め、陰影を美しく表現できる素材です。直射光を拡散し、時間帯や季節によって表情が変わることで、静かな豊かさを感じさせてくれます。畳もまた、座る・寝転ぶといった日本の暮らし方と相性が良く、現代の住まいにおいても心を落ち着かせる要素として再評価されています。

現代素材との組み合わせ方
(和モダンの考え方)

和モダン住宅では、伝統素材だけにこだわるのではなく、ガラス・鉄・コンクリートなどの現代素材を適切に組み合わせることで、洗練された空間をつくります。例えば、無垢材の天井や柱に対して、開口部は大きなガラスでまとめることで、和の落ち着きと現代的な開放感が共存します。

重要なのは、素材同士の「主張のバランス」です。すべてを自然素材でまとめるのではなく、あえて硬質な素材を引き算的に使うことで、木や左官のやわらかさが際立ちます。建築家・設計事務所は、素材の質感や光の反射、触れたときの感覚まで含めて検討し、和と現代性が無理なく溶け合う構成をつくり上げます。

経年変化を楽しむ素材選び

和風・和モダン住宅では、「完成時が最も美しい」という考え方よりも、住みながら育っていく住まいを前提に素材を選ぶケースが多く見られます。無垢材の色艶の変化や、左官壁の味わい、畳の表情の移ろいは、年月を重ねるほどに住まい手の暮らしと重なっていきます。

そのため、キズや色ムラを欠点と捉えるのではなく、暮らしの記憶として受け止められる素材を選ぶことが大切です。将来的な補修や張り替えのしやすさも含めて考えることで、長く心地よく住み続けられる和の住まいが実現します。

和風・和モダン住宅の費用の考え方

一般的な住宅との費用の違い

和風・和モダン住宅は、見た目が落ち着いている一方で、設計や施工には手間がかかるケースが多く、一般的な住宅と比べて費用に差が出やすい傾向があります。 理由のひとつは、空間の「余白」や「間」を大切にする設計が多く、柱や梁の見せ方、天井高さの調整、開口部の納まりなど、細部まで丁寧な検討が必要になるためです。

また、既製品を組み合わせる住宅と比べると、寸法や納まりを現場ごとに調整する場面が増えやすく、設計料・施工費の両面でコストが上がることがあります。ただし、その分、住まい全体の完成度や居心地の質が高まりやすいのも和風・和モダン住宅の特徴です。

素材・造作によるコスト差

和風・和モダン住宅では、無垢材、左官仕上げ、和紙、畳、造作建具など、自然素材やオーダーメイド要素を取り入れることが多くなります。これらの素材や造作は、量産品と比べると材料費・施工費ともに高くなる傾向があります。

たとえば、床を無垢材にする場合、樹種や幅、厚みによって価格差が大きく、壁を左官仕上げにすると、仕上げの質感に応じて職人の手間も変わります。一方で、すべてを高価な素材でまとめる必要はなく、見せ場となる場所とコストを抑える場所を整理することで、全体のバランスを取りやすくなります。

建築家・設計事務所と相談しながら、どこに「和」の質感を集中させるかを決めていくことが、納得感のある予算配分につながります。

外構・庭を含めたトータルコストの考え方

和風・和モダン住宅では、建物単体だけでなく、庭や外構を含めた全体の佇まいが住まいの印象を大きく左右します。そのため、建築費と外構費を切り分けて考えるのではなく、トータルで予算を組み立てる視点が重要です。

アプローチの石や植栽、塀や格子、庭のつくり方次第で、同じ建物でも雰囲気は大きく変わります。建物に予算をかけ過ぎて外構が簡素になるよりも、建物と庭を一体で計画することで、結果的に和の魅力が引き立つケースも少なくありません。

初期段階から「どこまでを住まいとして整えるか」を共有し、将来的に手を加える余地を残すなど、段階的な整備も含めて検討すると、無理のない住まいづくりがしやすくなります。

和風・和モダン住宅の
設計の工夫・ポイント

光と影を活かす設計

和風・和モダン住宅の魅力は、強い明るさよりも、やわらかな光と落ち着いた陰影のバランスにあります。深い軒や庇、障子や格子を通した間接的な採光によって、時間帯や季節ごとに表情を変える光の移ろいを楽しむことができます。

建築家は直射日光を抑えつつ、反射光や拡散光を室内に取り込むことで、目に優しく、長く過ごしても疲れにくい空間をつくります。こうした光の扱い方は、和の空気感を住まいに根付かせる重要な設計要素です。

視線のコントロールとプライバシー

和風・和モダン住宅では、外に大きく開くのではなく、視線を丁寧に切り取りながら空間を構成する考え方が重視されます。庭や中庭、坪庭を介して視線を抜いたり、格子や袖壁、植栽を用いて視線をやわらかく遮ることで、閉塞感のないプライバシーを確保します。

外からは落ち着いた佇まいでありながら、内側では伸びやかに過ごせる。この内外のコントラストも、和の住まいならではの心地よさと言えるでしょう。

断熱・気密・温熱環境の現代的工夫

伝統的な和風住宅は風通しを重視してきましたが、現代の和風・和モダン住宅では、断熱性や気密性、温熱環境の考え方を適切に取り入れることが欠かせません。高断熱の外皮性能を確保しつつ、開口部の位置や大きさを調整することで、夏は日射を抑え、冬は陽だまりを取り込む住まいが実現できます。

床暖房や輻射熱を活かした空調計画を組み合わせれば、和の落ち着いた空間性を損なうことなく、快適で現代的な住環境を整えることができます。

和風・和モダン住宅の設計では、意匠性だけでなく、光・視線・温熱といった目に見えにくい要素をどう整えるかが、暮らしやすさを大きく左右します。建築家・設計事務所の丁寧な設計によって、伝統と現代性が自然に調和した住まいが形づくられていきます。

和風・和モダン住宅を建てる際の注意点

和の意匠を「やりすぎない」バランス

和風・和モダン住宅では、格子や障子、深い軒、木の天井など魅力的な要素が多くありますが、すべてを盛り込もうとすると重たい印象になりやすくなります。重要なのは「どこに和を感じさせるか」を絞り込むことです。

空間全体を和で統一するのではなく、玄関や居間、庭とのつながりなど、ポイントを定めて取り入れることで、落ち着きと現代性のバランスが取りやすくなります。建築家は、施主の好みや暮らし方を踏まえながら、和の要素を引き算で整理していきます。

メンテナンス・維持管理の考え方

無垢材や左官、和紙、畳などの自然素材は、和の住まいに欠かせない存在ですが、素材ごとの特性を理解しておくことが大切です。傷や色の変化が起こりやすい反面、それを「劣化」ではなく「味わい」として楽しめるかどうかで、満足度は大きく変わります。

日常的な手入れのしやすさや、将来的な補修方法も含めて計画しておくことで、長く心地よく住み続けることができます。

土地条件・法規制との関係

和風・和モダン住宅は、屋根形状や軒の出、外観の落ち着いた構成が特徴となるため、敷地条件や法規制の影響を受けやすい側面があります。斜線制限や高さ制限、隣地との距離によって、理想とする外観や空間構成がそのまま実現できない場合もあります。そのため、土地選びの段階から建築家・設計事務所に相談し、法規とデザインを両立させる視点を持つことが重要です。

条件を読み替えながら設計することで、その土地ならではの和の住まいが形になります。

まとめ

和風・和モダン住宅は、日本の住文化が育んできた空間の知恵や素材感を、現代の暮らしに合わせて丁寧に編み直す住まいの考え方です。畳や無垢材、土間や縁側といった要素をそのまま再現するのではなく、光や影の扱い方、視線の抜け、素材の質感といった本質的な部分をどう取り入れるかが、住み心地を大きく左右します。

一方で、和の意匠は使い方を誤ると重くなりすぎたり、メンテナンス負担が大きくなったりすることもあります。だからこそ、敷地条件や家族構成、ライフスタイルを踏まえながら、どこに「和」を置き、どこを現代的に整えるかのバランスが重要です。

建築家・設計事務所は、そうした繊細な調整を重ねながら、その土地らしさや住まい手らしさを形にしていきます。エリアやご希望に合わせ、和風・和モダン住宅を得意とする建築家・設計事務所のご案内も可能ですので、よろしければお気軽にお問い合わせください。

関連する特集

「建築家」に関連する特集

「設計事務所」に関連する特集

「注文住宅」に関連する特集

貴方にぴったりの建築家をご案内 建築家紹介窓口はこちら