諏訪湖をはるかかなた見下ろす岡谷市の小さな村に建つ、築90年の民家の2階部分=元蚕小屋であった所の全面改修である。
昔から人と共に生き続けてきた自然素材を使い、次世代を担う若家族へ新しい力強さを再び生まれさせる事を今回のコンセプトとした民家再生である。
天井、柱、造作そして建具は、カナダ産のピーラー無垢材とし、床はチーク無垢材を用いている。木材仕入れは最短ルートを独自に工夫し、さらに小節や多少の割れ等、木の欠点も混ぜて使う事で、ハリものでない本物の木を安く使用する事ができる。 新たな木部は古色もどきには塗らず、全て無塗装、木地仕上げとし、日々の生活の中に新たな時を刻めるようにしてある。 古い土壁はていねいに補修し、内側に胴縁(空気層を兼ねる)、断熱材を充填し、木下地に本漆喰を塗り(接着剤の役目を兼ねる)、さらに厚さ20mmの土壁仕上げとした。 建物自体が省エネ、健康体となり居住性を高めている。 一枚大天井の下に間仕切りのないワンルーム形式とし、連続した広間の中を、小さな子供達が毎日素足でバタバタと元気よく走り回っている。