この住宅は、仕事を引退されたご夫妻が、愛犬と共に郊外の住宅地に移住してゆったりと暮らすための住まいです。
建て主さんの主なご希望は、
「それぞれのスペースがゆったりした家」
「将来は1階だけでも生活ができる家」
「軒が深く、シャープで白い家」
といったものでした。
比較的広い敷地であったことから、愛犬を放す庭を可能な限り大きく残しながらも、1階に生活の場の大半を設けた住宅です。
内装や建具に使用した木は、1階はタモ材、2階は桐とスプルス等の無垢材、壁は漆喰塗、床はフローリングとタイル、石を使用した自然素材の家です。
既製の建材や石油化学製品の使用を極力少なくすることで
「ホンモノの素材による味わいと暖かみのある家」
となることを期待した住まいです。
<外観>
この家の建つ敷地は、南側の道路を挟んで小さな公園と対峙し、それ以外にも近隣に多く公園が点在する緑豊かな住宅地にあります。
敷地は角地で、東側の道路は巾4mの生活道路。
双方の道路とも車の交通量は多くなく、近隣の人以外は散歩やジョギングの人が時折通る程度の静かな街です。
多磨霊園や斎場などにも近い住宅地ということもあり、外観は
「奇をてらうことなく、環境になじみやすい形態とする」
「これからの住宅地の環境・街並みづくりに寄与しうる建築にする」
ということを意図して形づくりました。
この家の玄関は、家の中には上げない人と応対する家具を置くことができるやや広めの場所にしたいというご希望がありました。 2方の窓の他、小さいながらもトップライトを設けることにより、家の北側ではありますが、非常に明るい玄関としました。 床、建具、窓枠、格子等は全てタモの無垢材で造った玄関です。
この住宅は、玄関からまずダイニングに入り、その奥にリビングがあります。 ダイニングを、この家での生活の中心的な場としていることによるものです。 ダイニングの正面(南側)には屋根のかかる大きなポーチがあり、その先に南庭が広がるという構成です。 上記のポーチにより庭から引きのあるダイニングですが、食卓テーブルを置く位置の上部にやや大きめのトップライトを設け、この家の中でも特に明るい場としました。
ダイニングからリビング(奥)を見た写真です。 写真の左手は南庭、右手はパソコン用のデスクカウンターです。
ダイニングからキッチンを見た写真です。
家の中心的な場であるダイニングと一体的な場としたキッチンです。 キッチンの左右どちらからもアクセスでき、正面には東に向く巾の広い出窓を設けた明るいキッチンです。
リビングはダイニングの奥に位置し、敷地内でも道路から離れた家族がゆったりとくつろぐ、静かで落ち着きのある場としています。 薪ストーブの火を見ながらゆっくりとした家族だけの時間を楽しむリビングです。
ダイニング側から見たリビングです。
南側の主寝室と北側の書斎とをつなぐ、約1m巾の2階の廊下です。 右手の階段も約1mの巾で、東側の景色を望むゆったりとしたスペースです。 床と天井は寝室等と同様、桐材で仕上げました。
2階の南側に設けた主寝室です。 南側のバルコニーの先にある公園の緑を借景としています。
比較的安定した採光条件となる2階北側に設けた書斎です。 屋根の形状に合わせた天井、3方向に窓を設けた部屋です。