棲林居は不動産デベロッパーをクライアントとする建売住宅2棟の計画である。それぞれ約30坪の土地に1棟づつ計画することを求められたが、こうしたミニ開発を地域の連続的な風景を破壊するものではなく、むしろ修景として作用させるべく、60坪に2棟建てるような計画とした。防火規制をクリアしつつ、杉板張りの連続的な外壁を形成、それを背景として、敷地境界線をまたいで、まとまった庭を計画した。
かつて東京には隣りの庭先を借景として楽しむおおらかさや文化があった。そんな木造民家が数珠繋ぎになって連続的でギャップのない街並みが形成されていた。
いわゆる建売住宅という名のミニ開発は、厳しい防火規制や経済的理由から地域の文脈を寸断させてしまうことが多いが、棲林居では大胆な木材の利用や、まとまりのある緑化計画に修景の可能性を見た。