従来の住宅では、冬は玄関は寒い、リビングは暖かい、と言った屋内の温度差が発生し、健康被害が発生しやすい環境でした。高気密高断熱住宅は、屋内の温度差が少ないので、健康維持につながります。
家の快適性は住む人の健康や幸福追求に貢献し、生産性の向上や医療費の抑制など、社会全体の利益にもつながります。
高気密高断熱住宅に住むことで、エネルギー消費を抑制し地球全体の環境維持に貢献できます。
車選びで、ハイブリッド車を購入するように。
という考え方を、地球温暖化対策の一環として、日本政府は推進しています。
その背景に、世界的な約束ごとがあります。
「パリ協定」の言葉をご記憶でしょうか。
2015年7月、フランス・パリで開催されたCOP21(気候変動枠組条約第21回締約会議)、この会議ですべての国が参加する2020年以降の温室効果ガス削減等のための、新たな国際枠組みが採択されました。
日本は「日本の約束」として「2030年度に2013年度比で温室効果ガスを26.0%減目標」を提出し、具体策として最終エネルギー消費で原油にして5,030万klの削減するという、国内での努力目標を立てました。
産業や運輸などを含む全体像のうち、新築住宅の住宅・建築物における最終エネルギー消費の削減量は、全体の12.8%で、原油換算で646.5万klになります。
正直に言うと、原油にして何万リットル・・・とか言われてもピンとこないのですが、省エネが人類共通の利益である事は間違いなさそうです。
住む人の健康も、住まい(建物)の健康も、その建物が存在する環境の健康も切り離すことができないから、住まいの高気密高断熱化も重要。
だからわたしたち建築家は、高気密高断熱住宅を推奨します。
政府の計画による住宅部門の目標達成の手段は、日本中の家を省エネ基準を満たす住宅にすること。
ではその基準とは?
難しいのが、亜寒帯から亜熱帯までを含む日本の気候の多様性です。
北海道の襟裳岬と沖縄の石垣島を同じ基準で統一できないのは、明らか。
そこで地域による区分が定められました。
都市部の多くは5〜7地域で、京都は市内のほとんどが6、府の中北部に5地域を含みます。
大阪はほとんどが6、兵庫県も阪神地域はほぼ6。
すべての住宅が「外皮平均熱貫流率」と「冷房期の平均日射取得率」の二つの省エネ基準で、地域ごとに設定された数値をクリアできれば、目標は達成される。
そんな作戦と理解しています。
そこで1軒1軒の住宅の性能が重要になります。
弊社の過去の物件は、基準をクリアできているのでしょうか。
この考え方に貢献できているでしょうか。