住まいの設計とデザイン、間取りの計画前に暮らしの趣と住まい手さんにとっての居心地の良さをデザインする為の考え方の整理と住宅としての機能と過ごし方の価値観提案。

やまぐち建築設計室

著者:やまぐち建築設計室(建築家・設計事務所/奈良県)
2023-11-03更新
住まいの設計とデザイン、間取りの計画前に暮らしの趣と住まい手さんにとっての居心地の良さをデザインする為の考え方の整理と住宅としての機能と過ごし方の価値観提案。
住まいの設計で空間を考える際に

家具の存在も同時に考えて

デザインの構築を行います。







それは空間に存在するべき

暮らしやすさが

住まい手さんの価値観と

共有するべき内容だからです。





例えば、LDK、

リビング・ダイニング・キッチンに

どのようなレイアウトで家具をおくのか?

それによって窓や

家電のレイアウト、

間取りでは内装ドア・壁の位置やサイズ等

様々な要素の違いと共に

どの程度の自由度を考えておくべきなのか?

というところも変わります。






ちなみに、例えばソファについて。

これにもサイズもあれば

形式の違いもあって

選択肢により部屋の使い勝手や

余白・・・広さの感覚も違ってきます。



ソファではカウチスタイルとオットマン、

どちらを選ぶか?



ソファには寛ぎ姿勢を整える

自由度が欲しいと思います。







リビングスペースに置く

家具の代表格である「ソファ」。







そのスタイルは様々ありますが、

人気の上で双璧なのが「カウチソファ」と「ストレートソファ」です。



ソファというのは

いわゆるベンチタイプを除き、

そこで身体を休める

寛ぐことができるのがその大きな役割です。



そこでは自身がとっている姿勢に

ストレスが無いことが

楽に感じる、疲れ(ると感じ)ない事の条件。



勿論視界に入る空間の美しさであったり

趣味嗜好にあった空間なのか

それぞれのパーソナルエリアにとって

十分な空間なのか?



ソフト面とハード面の

バランスにもよります・・・・・。



心地よいと感じるには

その時その時で

自身が欲している姿勢を

自由にとることができるのが理想であり、

足を曲げて座ることができる、

あるいは逆に足を伸ばして

座ることができるかなども

関係してきます。



ソファではその正面に配置された

テレビやスクリーンで

映像を見るようなことも

あるでしょうし、

その時に画面に正対した状態で

寝そべるような姿勢を

選ぶことができるまでに

姿勢の自由度が高ければ

いわゆる「寛ぎ度合い」は

高まるはずです。



そのような姿勢の自由度を

可能にするのがカウチソファであり、

ストレートソファを選択している場合は

それにオットマンを加えて

配置することです。



カウチソファとオットマンの違い。



この両者、

どちらも遠目には

ストレートソファのどちらか片方から

座面が垂直に伸びている形状であり、

一見よく似て見えます。



しかし、

両者には明確な違いがあります。



カウチソファは

足を伸ばしておける部分が

本体と一体になっているものであり、

ストレートソファに

オットマンを合わせるものは

それぞれが独立したものである

という点です。



カウチソファの「カウチ」とは

中世のフランスに

語源がある「横たわる」という意味があり、

つまるところカウチソファは

横たわることができるソファ

のことを指しています。



主に複数の人が並んで

座ることができる座面部分に

足を伸ばすことができる部分が

合わさったL字型

あるいは中央が伸びているT型が

多く見られ、

姿勢の自由度が高いソファです。



対してオットマンとは、

ソファや椅子に座ったときに

その前方に置いて

自身の足を乗せることができる

家具のことを指します。



フットスツールと呼ばれるものを

含めた総称であり、

ソファと対で使う場合には

その素材や形状などは

統一性をもたせることも多く

背もたれのない一人掛けソファ

といった趣もあるものです。



こちらは現在のトルコ共和国の

前身「オスマン帝国」を

意味する言葉であり、

そこで使われていた長椅子が

イギリスに広まった際に

オスマン帝国(Ottoman)風の家具を

意味するようになったことに

由来しています。



カウチソファも

ストレート+オットマンのスタイルも

脚を伸ばして

寝転がるように座ることができる

もしくは

姿勢の自由度があるという点では

共通している点があるものです。



カウチソファの最大の特徴は

その姿勢の自由度。



足を伸ばす・寝転ぶ・胡坐をかく

といった着座の際、

姿勢の自由度の高さは、

身体を休めるという点で

大きな効果を発揮します。



人の身体というのは

長時間同じ姿勢のままでは

疲れを覚えてしまうようにできています。



無意識下である睡眠時でさえ

寝返りを打つように、

常に無理のない姿勢を

欲するものです。



その自由度が高いうえに、

同時に複数が並んだ際に

そこで誰かが寝ていても

隣に座ることができるのは

大きな魅力です。



一方でいくつかの制限が

生まれるものでもありり、

まず、

設置にはある程度のスペースが必要

という点は配慮が必要になります。



建築的な配置計画のデザインや

設計価値と重なる部分。



一般的なストレートソファに比べ

総幅が大きくなることも多く、

カウチ部分も出っ張るので

縦横ともにスペースを要することで

設置する空間を

選ぶことは事実です。



また、

ソファの前方に

リビングテーブルを置く際には

カウチ部分をふまえた

小さめのものとする必要があります







L字型であることから

45度の角度で複数が着座できるとも

考えがちですが、

よほど大きなものでないと

互いの距離感も近く、

またカウチ部分には

背もたれが無い(もしくは非常に低い)ことも多いので

あまり現実的ではありません。



もともと横になって

リラックスするプライベートな空間向けの

ソファであるという性質から

来客に対応する場、

つまり応接室のような

かしこまった場には

不向きとされる考え方もあります。



オットマンを選ぶことで

自由度は高くなる一方、

ストレートソファに

オットマンを付属させる方が

その役割に幅を持たせ、

様々な面での

自由度も高くなると言えます。










考え方として

オットマンを置くことで

足を伸ばして使用すること

ができることは言うまでもありません。



そのうえで

オットマンはそれ単体でも

使用できる点が魅力です。



元来のカウチソファでは

左右の出っ張りが決まっているところ、

オットマンなら配置の位置は自由です。



左右を考えなくて良い点は

レイアウトの自由度を

高めます。



例えばリビングテーブルを置く際にも

テーブルを囲むように、

つまりL字状にレイアウトしても

空間に対するデザインでの

心地よさは生まれます。



サイドテーブル的な使い方として、

「かたわら」に本やマグカップを置いても良いです。



それ単体で1人掛けのソファとして

使うこともできるので、

来客の際には

ソファにゲストに座わってもらい

自身がオットマンに座る

というような対応をとることもできます。



両者を比較した際には

僕の経験や感覚では

ストレートソファ+オットマン

という選択の方が

使い勝手が良い感があります。



現代の日本の住まいは「横に短く縦に長い」

のが特徴とも言えます。



そこでは縦横にスペースを要する

カウチソファよりも

ストレートソファの方が

汎用性は高くなります。



そこでの快適度を高める際に

オットマンを追加で配置することは

LDKという普段使いする空間で

レイアウトの自由度を高める意味でも

理にかなっていると言えます。



オットマンにも

ショートサイズとロングサイズも

存在しているので

どのような選択で

家具を考えるのかによって

建築的側面からのアプローチも変わります。





暮らしの空間とは様々な要素が

集合体として「住まう場」を構成するので

総合的にイメージする事が大切。



設計に入る前段階で

僕が家具ショールームやインテリアショップ

建材設備メーカーのショールームへ

ご相談者さんや住まい手さんを

ご案内させていただくのは

そういうところでも意味を含んでいます。



暮らしの空間と心地良さの意味を

家造りの過程で

丁寧に考えてみませんか?



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やまぐち建築設計室 建築家 山口哲央
著者:やまぐち建築設計室(建築家・設計事務所/奈良県)

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