住宅を建てる際の高さを規制する斜線制限には、天空率という緩和制度があります。特に小さい敷地に2階建て以上の住宅を建てる場合、斜線制限で自由度が損なわれてしまうことも。そのような場合は、天空率で緩和できないか、検討してみましょう。
天空率とは、住宅建築における斜線制限(北側斜線制限、道路斜線制限、隣地斜線制限)の規制を緩和する制度です。2003年に施行された改正建築基準法の高さ制限に盛り込まれています。
それぞれの斜線制限の測定点から魚眼レンズで天空を同心円状に見上げて建物を投影し、天空が見える割合を天空率とします。
円の面積に対して、円の面積から建築物の投影面積を引いた残りの面積(天空が見える面積)が比率が天空率となります。
天空率を算出する際の測定点は、以下となります。
北側斜線制限の天空率の測定点は、用途地域によって異なります。
第一種・第二種低層住居専用地域
敷地から北に向かって4メートルの距離に、1メートル間隔で測定点をとります。
第一種・第二種中高層住居専用地域
敷地から北に向かって8メートルの距離に、2メートル間隔で測定点をとります。
敷地から見て道路の反対側に、道路幅の半分以下の長さで等間隔に測定点をとります。
中高層住居専用地域・住居地域・準住居専用地域
敷地から16メートルの距離に、8メートル以内の間隔で測定点をとります。
近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域
敷地から北に向かって12.4メートルの距離に、6.2メートル以内の間隔で測定点をとります。
天空率の算出・採用は難易度が高く、また自治体によっては条件が異なるケースもあります。不動産会社やハウスメーカー、工務店の営業でも、熟知している人は少ないかと思います。
斜線制限にかかりそうな土地の購入、あるいは所有している土地に、天空率を適用して家を建てようと考えてる方は、知識・経験豊富な建築士・建築家に予め相談しておくことをおすすめします。